「題」 「主の前に心を注ぎ出す」
聖書の箇所 「サムエル記第一1章1~28節」(旧約P.478)
※聖書:新改訳2017©2017 新日本聖書刊行会
1 エフライムの山地ラマタイム出身のツフ人の一人で、その名をエルカナという人がいた。この人はエロハムの子で、エロハムはエリフの子、エリフはトフの子、トフはエフライム人ツフの子であった。
2 エルカナには二人の妻がいた。一人の名はハンナといい、もう一人の名はペニンナといった。ペニンナには子がいたが、ハンナには子がいなかった。
3 この人は、毎年自分の町から上って行き、シロで万軍の主を礼拝し、いけにえを献げることにしていた。そこでは、エリの二人の息子、ホフニとピネハスが主の祭司をしていた。
4 そのようなある日、エルカナはいけにえを献げた。彼は、妻のペニンナ、そして彼女のすべての息子、娘たちに、それぞれの受ける分を与えるようにしていたが、
5 ハンナには特別の受ける分を与えていた。主は彼女の胎を閉じておられたが、彼がハンナを愛していたからである。
6 また、彼女に敵対するペニンナは、主がハンナの胎を閉じておられたことで、彼女をひどく苛立たせ、その怒りをかき立てた。
7 そのようなことが毎年行われ、ハンナが主の家に上って行くたびに、ペニンナは彼女の怒りをかき立てるのだった。こういうわけで、ハンナは泣いて、食事をしようともしなかった。
8 夫エルカナは彼女に言った。「ハンナ、なぜ泣いているのか。どうして食べないのか。どうして、あなたの心は苦しんでいるのか。あなたにとって、私は十人の息子以上の者ではないか。」
9 シロでの飲食が終わった後、ハンナは立ち上がった。ちょうどそのとき、祭司エリは主の神殿の門柱のそばで、椅子に座っていた。
10 ハンナの心は痛んでいた。彼女は激しく泣いて、主に祈った。
11 そして誓願を立てて言った。「万軍の主よ。もし、あなたがはしための苦しみをご覧になり、私を心に留め、このはしためを忘れず、男の子を下さるなら、私はその子を一生の間、主にお渡しします。そしてその子の頭にかみそりを当てません。」
12 ハンナが主の前で長く祈っている間、エリは彼女の口もとをじっと見ていた。
13 ハンナは心で祈っていたので、唇だけが動いて、声は聞こえなかった。それでエリは彼女が酔っているのだと思った。
14 エリは彼女に言った。「いつまで酔っているのか。酔いをさましなさい。」
15 ハンナは答えた。「いいえ、祭司様。私は心に悩みのある女です。ぶどう酒も、お酒も飲んではおりません。私は主の前に心を注ぎ出していたのです。
16 このはしためを、よこしまな女と思わないでください。私は募る憂いと苛立ちのために、今まで祈っていたのです。」
17 エリは答えた。「安心して行きなさい。イスラエルの神が、あなたの願ったその願いをかなえてくださるように。」
18 彼女は、「はしためが、あなたのご好意を受けられますように」と言った。それから彼女は帰って食事をした。その顔は、もはや以前のようではなかった。
1、主の愛を求める
10~11 節「ハンナの心は痛んでいた。彼女は激しく泣いて、主に祈った。そして誓願を立てて言った。『万軍の主よ。もし、あなたがはしための苦しみをご覧になり、私を心に留め、このはしためを忘れず、男の子を下さるなら、私はその子を一生の間、主にお渡しします。そしてその子の頭にかみそりを当てません。』」
ハンナは夫エルカナから特別の愛を受けていましたが、心の痛みはいやされませんでした。それでハンナは、私を心に留めてくださいと主に祈り求めました。主の愛には真のいやしと救いの力があります。
2、主に全てを注ぎ出す
15 節「ハンナは答えた。『いいえ、祭司様。私は心に悩みのある女です。ぶどう酒も、お酒も飲んではおりません。私は主の前に心を注ぎ出していたのです。』」
「心を注ぎ出して」とは、魂、命を注ぎ出すという意味です。ハンナは主の前に、何も隠さずに自分の全てを打ち明けました。それほどまでに、ハンナは主を信頼し、心を空っぽにして、主に満たしていただくことを求めました。
3、主によって変えられる
18 節「彼女は、『はしためが、あなたのご好意を受けられますように』と言った。それから彼女は帰って食事をした。その顔は、もはや以前のようではなかった。」」
ハンナは主に祈り、すべてを明け渡すことで、完全に主のものとされた確信を得たのでしょう。まだ解決を得る前から、ハンナは変えられました。祈りを通して、主はその人を変えてくださいます。